無停電電源装置(UPS)の使い方。予期せぬPCのシャットダウンからPCを守る方法
無停電電源装置(UPS)はその名の通り、停電時に電源を確保できる装置です。
主にパソコンやOA機器などに使用することを目的に設計・製造されています。
停電時には当然ながらパソコンを起動していると強制シャットダウンとなり、最悪の場合、システムの破損にも繋がります。
無停電電源装置があれば、いざと言う時に大事なデータやシステムを守るのに役立ちます。
今回は私が使用している無停電電源装置、オムロンBY50Sと言う商品を例に使い方などをご紹介したいと思います。
目次
無停電電源装置(UPS)の選び方
一般家庭用のコンセントに流れる電気はAC(交流)100Vです。
電気の波形には【正弦波】【擬似正弦波】【矩形波】と言う3つの波形が存在します。
そして交流の波形は正弦波です。PCなどの精密機械を接続する場合、回路に正弦波が使われてるUPSが適しています。
例えば、車などで使用するインバーターは、DC(直流)12VをAC(交流)100Vに変換できます。そのインバーターに使われている回路が【擬似正弦波】や【矩形波】だった場合、電気製品によっては使用できないこともあります。理由は波形が安定していないからです。
簡単にまとめると、家庭用電気の波形=正弦波となります。家庭用コンセントにPCや精密機器の電源ケーブルを接続しても問題ないですよね?そういうことです。
よって正弦波が使われているUPSを選択するのが最適です。
私が使用しているオムロンBY50Sは正弦波出力のUPSです。また力率改善(PFC)回路内臓電源に対応しています。
- 力率改善(PFC)回路内蔵電源とは・・・
「高調波電流」とよばれる電源ノイズを抑えるための力率改善回路を搭載した電源のことで、PCへの搭載率が年々高くなってきています。力率改善(PFC)電源への電力供給は、正弦波交流が適しています。矩形波交流を供給すると問題が発生する場合があります。
例えば、米国のEcos Consultingが管理している認証制度で、電源変換効率が80%以上かつ力率0.9以上の電源に対して認証ロゴが与えられ、多くのPCが採用しています。この電源は力率改善(PFC)回路を搭載しています。引用元:オムロン 製品情報
また、オムロンBYシリーズは容量が違う4つの型番があります。PCの消費電力から自分に合った容量の商品を選択できるのでいいですね。
商用電源からの供給なしで起動(コールドスタート)にも対応しています。
無停電電源装置(UPS)の運転方式
UPSの運転方式とは、商用運転時(家庭用コンセントからの電力供給)やバックアップ運転時に電力を供給する方式のことです。
オムロン製のUPSには、シリーズにより3種類の給電方式が採用されています。
常時商用給電方式
(1) 常時商用給電方式:商用運転時は商用電源からの電力をそのままスルーで出力し、停電時はバッテリ給電によるバックアップ運転で出力します。バックアップ運転に切り替わるまでに瞬断が発生します。(BZシリーズ、BXシリーズ、BYシリーズ)引用元:オムロン 製品情報
ラインインタラクティブ方式
(2) ラインインタラクティブ方式: 基本構造は常時商用給電方式と同じですが、AVR(電圧安定化)機能が付加されており、安定的に電圧を供給することが可能です。バックアップ運転に切り替わるまでに瞬断が発生します。(BNシリーズ)引用元:オムロン 製品情報
常時インバータ給電方式
(3) 常時インバータ給電方式: 商用運転時、バックアップ運転時ともにインバータ運転で出力します。インバータは電源に含まれるノイズを取り除き、常に電圧値を調整するので安定した給電が可能となります。バックアップ運転に切り替わる際の瞬断もありません。(BUシリーズ)引用元:オムロン 製品情報
シリーズによる特徴はUPS選定マップから確認できます。
価格は、常時インバータ給電方式 > ラインインタラクティブ方式 > 常時商用給電方式の順で高くなっています。
無停電電源装置(UPS)の外観
この商品は鉛バッテリ(鉛蓄電池)を使用していますので、重量は4.5kgとそれなりに重いです。外形寸法は幅92mm,奥行き285mm,高さ165mmです。
本体前面はバッテリの状態表示、バッテリ交換表示、ブザー停止/テスト、電源の入/切となっています。
本体背面は、以下のようになっています。
- A. USBコネクタ
- B. 設定スイッチ
- C. AC電源過電流保護スイッチ
- D. AC入力ケーブル
- E. 電源出力コンセント
無停電電源装置(UPS)の設置
無停電電源装置はバッテリを使用している為、始めに本体付属説明書の注意書きをよく読んでから設置します。これはどんな商品にも言えることですね。
よくありがちな電源ケーブルの取り扱いとして、ケーブルを束ねた状態でコンセントに接続しているケースを見かけます。ケーブルが邪魔なのでスッキリしたいと言うのは分かりますが、電源ケーブルを束ねたままコンセントに接続すると、束ねた部分が発熱して最悪火災の恐れがあります。危険なのでやめましょう。
設置場所は直射日光が当たる場所や湿度&温度の高い場所は避けます。
無停電電源装置(UPS)の接続
この商品に接続するのは基本的にパソコンの電源や周辺機器、OA機器の電源です。
事前にお使いのパソコンの消費電力を調べておきます。
一番簡単な消費電力の確認方法はワットチェッカーで確認する方法です。下のような商品にパソコンの電源ケーブルを差込んでコンセントに差込みます。その後、パソコンを起動して消費電力を確認します。例えば400Wなら余裕を持って500W対応の商品を購入する感じです。
PCの消費電力についてはMicrosoftにも書かれています。
私の使用しているBY50Sの定格容量の上限は300Wまでです。電圧に関してはPC電源の電圧は12V~14Vがほとんどなので気にせずに大丈夫です。
本体の電源ケーブルにはアース端子が付属していますので、コンセントに接続する際にはアースを取ります。
その名の通り、電気を大地(地球)に接続することにより感電や漏電を防ぎます。またノイズ除去の効果もあります。
しかし、コンセントにアース端子がない場合、アース端子付きコンセントの設置は電気工事有資格者でないとできません。電子レンジのアースもコンセントにアース端子がないなどで接続せずに使用している人も多いのではないしょうか?
そんな時、アース端子付きコンセントを設置するのが最良の方法ですが、業者によりそこそこの工事料金を取られることもあります。漏電を事前に感知して感電を防ぐと言う意味では、下のような商品で事前に漏電遮断をすることもできます。
本体の電源ケーブルをコンセントに接続したら、パソコンの電源ケーブルを本体背面の電源出力コンセントに差込みます。
本体前面の電源ボタンを押してしばらく待って状態表示が「On」となればOKです。
停電時の動作
停電や電源の異常が発生すると、自動バックアップ運転に切り替わります。
自動バックアップ運転中は、バッテリからの電力供給になります。バッテリの残量がなくなるまでは接続しているPCや機器の電源は確保できます。
その間にブザーがバッテリの残量に応じて鳴り続けます。
- 停電または電源異常発生時:4秒間隔
- バッテリ残量少:1秒間隔
- バッテリ残量なし:鳴りません
停電回復時は自動で商用電源からの電力供給に戻ります。消費されたバッテリ残量は商用電源から充電されます。
停電がなかなか回復しない場合などにバッテリの残量がなくなるとパソコンは強制シャットダウンとなります。例えば、パソコンをスリープ状態で外出した時に停電が発生すると困ります。バッテリ残量も確認できないので、もしかしたら強制シャットダウンしているかも知れません。
そんな時に便利なのが本体付属のCD-ROMに入っている「自動シャットダウンソフト」です。あらかじめインストールしておくことで、停電時にPCを自動シャットダウンすることが可能です。
このソフトの使い方は別記事に書いていますので迷わずにインストールしておきましょう。
バッテリの交換
オムロン BY50Sはバッテリだけを交換できるようになっています。
これは有り難いですね。
交換方法は、バッテリなので慎重に扱う必要がありますが、本体のネジをドライバーで外してバッテリケーブルをコネクタから外すと言う簡単な作業です。
詳しくは本体付属の説明書に記載されています。
あとがき
以上が無停電電源装置(UPS)の基本的な使い方になります。
備えあれば憂いなしでUPSを設置していればなにかと安心です。
いざと言う時はスマホを充電する程度なら問題もないように思います。
消費電力の高いもの(ドライヤーや掃除機)などは接続しないようにしましょう。もちろん人体に影響のある医療機器などは接続してはいけません。
私の経験上、PCの強制シャットダウンでシステムが破損する確率は低いです。問題なく起動できるケースがほとんどでしたが、何か作業している時に強制シャット
ダウンになるとそれまでの作業が全て台無しになります。
途中で作業内容をバックアップする回数にも限界があります。
そういうのが嫌と言う理由もあって私はUPSを設置しています。
正弦波対応のUPSはそれなりの値段になりますが、そこだけは妥協しない方がいいです。
接続した機器が動作しないのでは話になりませんからね。